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数学史、整数論、数学オリンピック、未解決問題・・・をわかりやすく証明を通して解説していきます。

東京大学物語

受験数学というのは個人的にあまり好きではない。

数学好きの人間が興味を持つのは、問題の裏に潜む緻密さ、完全性、論理性の上に成り立つあまりに美しすぎる自然科学の法則であって、あらかじめ用意された文章に穴埋めしていくだけの問題にはなんら興味を持たない。

なぜなら、それはただの記憶がなせる技であって、決して自由な自然科学の探求になりえないからだと考える。

しかし、だからと言って学校で習う受験数学の全てを否定しているわけではない。
もちろん記憶した公式などから、新たな発想が生まれる事も多々あり、自由な探求の足がかりの幅を広げてくれる。



まぁしかし、そんな堅苦しい言葉を抜きにして、数学を楽しめればいいかなと思います。

そんな中で、ちょっと前にあった漫画で「東京大学物語」ってあったのをご存知でしょうか?
ドラマ化もされたので名前だけでも知っている人も多いのではないだろうか?

基本的には恋愛モノなのだが、時々出てくる数学、生物、物理、古文等の問題がおもしろい。
特に数学に関しては、筆者も思い入れがあるのか、結構エレガントに解答を示しているのが目に付く。


そんな解法を示したいと思う。



08010901.jpg

20列×6段=120個のゲタ箱に対して、ランダムに場所を指定するとき、ある生徒が5人の友達の少なくとも1人と隣り合う確率を求めよ



まず120個のゲタ箱の全てに靴を入れる時の組み合わせは120!である。
もちろん、ある生徒と友達以外の人間も独立した個人として含めている。


次に、ある生徒の右隣に友達がくる組み合わせの数を求めよう。

右側に友達がなるので、ある生徒というのは一番右端の列には存在できないので、ある生徒が存在できる場所は120-6=114個

そして自分の右には5人のうちの一人なので5通りの組み合わせ。

最後に、ある生徒と右隣を除く全てのゲタ箱はランダムなので118!通りの組み合わせがある。

したがって、左は無関係にとりあえず「右には友達が来る組み合わせ」114×5×118!



これは、ある生徒の左側に友達が来る場合も全く同様の数値をとるので114×5×118!


これで終わらせるのは時期尚早だ。

この二つを単純に足してしまうと「両隣に友達が来る組み合わせ」を二重に数えている事になる。

だから、2×114×5×118!から「両隣に友達が来る組み合わせ」を引かなければならない。


では両隣が友達となる組み合わせを求めてみよう。

両隣が友達となるという事は、ある生徒は両端の列には存在できないので、存在できる場所は120-12=108個

そして、自分の両隣の二つに入る友達の組み合わせは5P2(=5×4=20)

これはもちろん、右と左を別の事象として扱っているからである。
(「右A君、左B君」と「右B君、左A君」を別の組み合わせとしている)

そして、残った120-3=117個のゲタ箱はランダムになるので117!通り。


という事は、両端が友達になる組み合わせは108×20×117!


これで計算は終わりだ。

したがって、求めるべき確率は

(2×114×5×118!-108×20×117!)÷120!

なので

1103/14042
となる。



通常、この問題を解く時、「ある生徒が下駄箱の両端のどちらかの列にいて、一つしかない隣に友達がいる場合」の組み合わせを求め、その後、「ある生徒が両端以外の場所にいる場合」の組み合わせを求めていくことになる。

その場合、そこからさらに「右には友達がいるが、左には友達がいない場合」、「左には友達がいるが、右には友達がいない場合」、「両隣とも友達になる場合」と結構、場合分けが多くなる。


組み合わせ問題に限らず、場合分けごとに計算する場合、場合分けの数が多いと計算間違いがよくある。
特に「permutation」や「combination」の計算は数が大きくなるので、よく間違える。

なるべくなら、計算は避けたい。
この解法はなかなかいい解法である。

これも受験数学のテクニックの一つになりうる。


08010902.jpg

しかしながら、この漫画の主人公は本当の意味で変人である。

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2008年01月09日 | 受験数学 | トラックバック(0)件 | コメント(1)件



コメント
導出
数学好きの人間が興味を持つのは、問題の裏に潜む緻密さ、
完全性、論理性の上に成り立つあまりに美しすぎる自然科学の法則であって、
あらかじめ用意された文章に穴埋めしていくだけの問題にはなんら興味を持たない。
     を拝読致しました。

◆ 問題の裏に潜む 背景 を 隠匿し 学習阻害 の 問題 に 憤りすら 覚えませんか?

     初歩的な 一例;

次問は ★連分数絡みの問題と 瞬時にして 見抜かれるでしょう が;

http://f.hatena.ne.jp/mathnb/20100528021239

    この 廣大 の 函数 f が  

  ◆  いい加減法 (と命名します);

   x^2=7

3倍し;3x^2=3*7

  8*xを(いい加減)加え

3x^2+8*x=3*7+8*x

x*(3*x+8)=8*x+21

から 生まれた。なんて 信じる 学習者は 世界に 存在しない。

授業で いい加減法で 導出される方 は 存在しそう(嗚呼)......◆


★★ 廣大の函数f の導出過程を ご教示ください★★

(f の 導出にこそ 意味が在ると 考えます ので) 

---------------------------------------------------------------------

           また 
http://f.hatena.ne.jp/mathnb/20100528021239
    に倣い 例えば
Sqrt[3], Sqrt[109], Sqrt[263], Sqrt[431], Sqrt[601],
Sqrt[773], Sqrt[971], Sqrt[1153]
     等のそれぞれについて
廣大の函数f に相当する函数の導出を、 遊び心で、お願い致します;

f(Sqrt[3])=Sqrt[3](不動点) f[x]=
f(Sqrt[109])=Sqrt[109](不動点) f[x]=


上を宜しくお願い致します。

遊びの数学を本気で楽しむ に 倣いたいと考えております

2010/06/17(木) 20:51 | URL | gb #kvDv2TXo[ 編集]
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Author:オイラー
・得意分野
 整数論、解析学、幾何学
 複素数、数列 etc
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 行列、群論

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