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数学史、整数論、数学オリンピック、未解決問題・・・をわかりやすく証明を通して解説していきます。

フェルマーの最終定理 n=4の証明

「フェルマーの最終定理」
即ち、nが全ての自然数の時の証明をここに書くことはできないという事を前回書いた。

恐らく、私自身、それを読む機会があったとしても理解はできないだろう。

という事で、その一部、「n=4」の時の証明をしてみたいと思う。

ちなみに、この「n=4」の証明は、「最終定理」の中では、ほんの序章の中の序章にも過ぎない。
それでも、やはり専門的な知識と発想が必要である。

できるだけ、ちょっとした所に理由を書いて、簡単にわかりやすくしたつもりなので、是非じっくりと読んでいただきたい。


(問題)
08022501.jpg


またも、記事が非常に長くなります。
気になる方だけどうぞ



これを証明する前に、まず補題を示す。

(補題1)
08022502.jpg

まず、xが偶数で、x、yは互いに素なので、yは奇数
よって、zも奇数である。

また、yとzは互いに素である。

理由
y、zが公約数を持っていれば
y=rm、z=rn(r、m、n共に奇数)
と置け


08022503.jpg
より
08022504.jpg
となるが、xは偶数、rは奇数より、左辺は整数にならない

したがって、yとzは互いに素となる。


y、zは奇数で互いに素より
08022505.jpg
整数となり、互いに素である
(これら2つの数に公約数があれば、先程と同様にy、zに公約数を持ってしまう。)

08022506.jpg

なので

08022509.jpg
を満たす整数a、bが存在し、
a>bで、a、bは互いに素である。

理由
08022510.jpg
において
08022505.jpg
の2数は互いに素である事から、両数はどちらも平方数となるa、bが存在する。


ここで、何故、両数が平方数となるのか補題で示す。


(補題2)
08022511.jpg
でy、zが互いに素の時、y、zは平方数である。


平方数を因数分解すると、それぞれの素因数につく指数は必ず偶数となる。
08022512.jpg
yが平方数でないなら、yはxの素因数のうちの少なくとも一つを、奇数の指数で因数として含んでいることになる。
という事は、zもその素因数を因数として含んでいることになり、y、zは公約数を持つ事になる。


よって、(補題2)は示された。


話を戻す。

これまでの考察より
08022509.jpg
と置けば、
08022513.jpg
で与えられる。

またこの時、a、bは互いに素であり、a>bも満たす。

これより、(題意1)も示された。



この(題意1)を使って、
08022514.jpg
を証明する。

この問題を証明するには
08022515.jpg
を示せば十分である。


もちろん背理法で示す。
上記の式を満たす整数x、y、zが存在すると仮定する。

まず、x、yは互いに素であるとしてよい。
(x、yが公約数を持てば、zも同じ公約数を持ってしまう)


x、yは互いに素なので、xとyのどちらかは奇数である。
ここで、x、yに関して対称なので、yを奇数としても一般性は崩れない。

奇数の4乗数は、必ず8で割ると1余る
080225160.jpg

また、偶数の4乗数は、必ず8で割りきれる


xを奇数とすると、yも奇数なので、zは偶数になる。
よって、zの平方数は4で割り切れる。

しかし、「(奇数の4乗数)+(奇数4乗数)」は「8で割ると2余る」
要するに、「4で割ると必ず、2余ってしまう」

よって、xは奇数でありえない
従って、xは偶数、yは奇数という事がわかる

また、同時に、(xの平方数)は偶数、(yの平方数)は奇数である。


この事実を、先程の(補題1)に重ねてみると
08022517.jpg
なるa、bが存在する。


yは奇数である事より、(yの平方数)は「4で割ると、1余る」数である。

08022518.jpg
より、a、bが共に偶数、又は共に奇数であれば、yは偶数となるので不適。
また、aが偶数、bが奇数なら、(yの平方数)は「4で割ると、3余る」数になってしまう為、これも不適。

よって、aは奇数で、bは偶数となる。


ここで、b=2cと置くと
08022519.jpg

また、a、bは互いに素なので、a、cも互いに素。
よって、aもcも平方数である。(補題2より)

したがって、
08022520.jpg
と書ける。
(aは奇数より、dは奇数。d、fは互いに素で、d、f>0)

b=2cなので
08022521.jpg

よって
08022522.jpg

即ち
08022523.jpg

yは奇数なので、
08022524.jpg



上記のf、y、dに関して、(補題1)を適応させると

08022525.jpg
なる、l、mが存在する。

ここで
08022526.jpg
より、l、mは互いに素なので、lもmも平方数である事がわかる。(補題2より)
したがって
08022527.jpg
と書け、また、r>sで、r、sは互いに素である。

よって
08022528.jpg
また
08022529.jpg



これらより
08022530.jpg

これで、無限降下法が成り立ち、矛盾が証明された。

よって
08022515.jpg

従って、当然、zが4乗でも成立することはなく

x、y、zが整数の時
08022514.jpg



~一言~

この難しさで、「フェルマーの最終定理」の序章の序章にも過ぎない。

これを、n=4ではなく、全ての自然数で証明するわけだ。
この問題が360年間、証明されなかった理由も分かる気がする。

補題の設け方に発想が必要とはなるが、それ以外はほとんど、「偶数」、「奇数」、「互いに素」で終始しているのが特徴である。

整数論の基本である。




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2008年02月26日 | 初等整数論 | トラックバック(0)件 | コメント(11)件



コメント
フェルマーの最終定理
証明よろしければ送ります。
2009/03/10(火) 17:58 | URL | 日高 #-[ 編集]
No title
日高>

是非ともお願いいたします。

読んでみる価値は十二分にありそうです・・・
2009/03/10(火) 22:31 | URL | オイラー #-[ 編集]
証明の修正可能な誤り
> (x^2)/(r^2) = (n^2)-(m^2)
> となるが、xは偶数、rは奇数より、左辺は整数にならない。

上記は誤っています。
xは偶数ですが、奇数を因数として持つことも可能なのと、
r = 1も奇数なので、(x^2)/(r^2)が整数になることもあります。

rはyとzの公約数ですが、(x^2) = (r^2)*{(n^2)-(m^2)}よりxの約数でもあります。

rがxの約数であることと、xとyが互いに素であることから、r = 1が結論できます。

rはyとzの最大公約数にもなれるので、r = 1からyとzも互いに素であると結論できます。
2009/06/17(水) 18:16 | URL | WIZ #QFTSt91Q[ 編集]
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2011/08/14(日) 15:15 | | #[ 編集]
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2011/10/06(木) 15:55 | | #[ 編集]
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2012/05/30(水) 23:34 | | #[ 編集]
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2018/12/25(火) 20:41 | | #[ 編集]
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 複素数、数列 etc
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