fc2ブログ

数学史、整数論、数学オリンピック、未解決問題・・・をわかりやすく証明を通して解説していきます。

2007年度の日本数学オリンピック予選問題3


を満たす整数の組 (a、b)の組はいくつあるか。

この問題も2007年の数学オリンピックの予選問題の9問目ですが、4問目と同様に整数に関する問題になりますね。
しかし、四問目よりもややこしい作りになっている。

数学オリンピックに出てくる整数問題は結構、数え上げに尽きるという面もあるので、これも根気よ く数え上げてやりましょう。

ちなみに私は答を知らないので、間違っていたらごめんなさい・・・




まずは、どう料理していこうか??

aかbかの方程式F(a)、F(b)として考えて、因数分解???

そんな事しても、おそらく解けないだろうなぁ・・・と思ったらやめましょう。



とりあえず、両辺を(aの2乗)で割っちゃいましょう

その前に、実際の解答では「aは0でない時」と一言、添えておきましょう。
これがなければ、確実に減点となります。


すると

この式を①と置きましょう。

この両辺は整数にならないとおかしい。

ってことは(bの3乗)は(aの2乗)で割り切れるわけですな。

という事は(b)は(a)で割り切れる。


※これに疑問を持った方は、センスあります。こういう疑問はどんどん持っていきましょう。
 こういう疑問から理論は解明・発展していくわけだ。

ここからが重要


bはaで割り切れないと仮定します。
bをaで割った時の余りをkとおく。(kはaより小さい整数)

すると
「(bの3乗)をaで割った余り」と「(kの3乗)をaで割った余り」は等しい。(合同式の累乗)

という事は、同様に
「(bの3乗)を(aの2乗)で割った余り」と「(kの3乗)を(aの2乗)で割った余り」は等しい。
「(bの3乗)を(aの2乗)で割った余り」というのは「0」なので、「(kの3乗)を(aの2乗) で割った余り」も「0」になるはずです。

しかし、kはaで割り切れないので、(kの3乗)もaで割り切れない。
という事は(kの3乗)は(aの2乗)でも割り切れるはずはないですね。



bはaの倍数である事がわかったので、b=maとおきましょう。(mは整数)
これを①の式に代入すると


よって


これに「解の公式」をそのまま当てはめてみよう。

すると


まず、この√が整数にならなければいけない。

ここで

とおくと





ここまで来れば、後一息だ。

(m-8-t、m-8+t)の組み合わせとしてありえるのは

(1、64) (-1、-64) 
(2、32) (-2、-32)
(4、16) (-4、-16)
(8、8)  (-8、-8)
(16、4) (-16、-4)
(32、8) (-32、-8)
(64、1) (-64、-1)  の14通り

ってことは、m-8、tもどちらも整数なので


(m-8、t)の組み合わせは

(17、15)  (-17、-15)
(10、6)   (-10、-6)
(8、0)    (-8、0)
(10、-6)  (-10、6)
(17、-15) (-17、15)  の10通り

よって mは 25、18、16、0、-2、-9


あとは、それぞれの場合で計算していこう。

○ m=25の時



aは整数なので、a=125  よってb=3125 (b=maね)

○ m=18の時

先ほどと同様に計算すると (式は省きます・・・m( __ __ )m )

a=54、27 よって(a、b)=(54、972)(27、486)

○ m=16の時

a=32   よって(a、b)=(32、512)

○ m=0の時

a=0    よって(a、b)=(0、0)

○ m=-2の時

a=2、-1 よって(a、b)=(2、-4)(-1、2)

○ m=-9の時

a=27 よって(a、b)=(27、-243)


一応、初めに、両辺を(aの2乗)で割った時の場合分けとして、「a=0の時、明らかにb=0」も書いておくべきだね。結果として答えは被ってくるけど、必要です。



よって、答えはこの8通りになるわけだ。

(a、b)=(125、3125)
      (54、972)
      (27、486)
      (32、512)
      (0、0)
      (2、-4)
      (-1、2)
      (27、-243)



~一言~


この問題は意外にてこずったり、全部の答えを出せなかったりした人が多かったんじゃないかな??
特に難しい知識は使ってはいないが、式の変形に少しテクニックが必要なんだろうと思われます。

YAHOOの知恵袋でも同じ問題が出てたけど、この解答は間違ってるしね。
こちらがリンク

この数え上げは、なかなか根気がいります。
実際の試験で確認の演算をすれば、恐ろしくめんどくさいはず・・・

もしかしたら、もっと簡単に8通りってできるかもしれないな~



それにしても、この記事を書く方が疲れました・・・




よろしければ、クリックお願いします⇒ 「数学ブログ」
ついでに、こちらも参加しております⇒ 「人気ブログランキング」
2007年12月31日 | 数学オリンピック予選 | トラックバック(0)件 | コメント(1)件



コメント
No title
ってことは(bの3乗)は(aの2乗)で割り切れるとき
は(b)は(a)で割り切れるというのは題意を満たすa、bの場合です。
証明法に少し説明不足の節があると思います。

bをaで割ったあまりがkですが、aとbの大小関係がわからないのでb=kが考えられます。
例えばb=4、a=8の場合です。
このときbの3乗はaの2乗で割り切れます。

これの証明として
a=pα、b=pβ
pはaとbの最大公約数としαが1でないと仮定し、これらを題意に代入すると、βがαで割り切れることを示せて矛盾。
よってα=1より、題意を満たすbはaで割り切れる。
後の解法は私も同じやり方で出しました。
2009/10/14(水) 22:54 | URL | 3の6 #-[ 編集]
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

オイラー

Author:オイラー
・得意分野
 整数論、解析学、幾何学
 複素数、数列 etc
・苦手分野
 行列、群論

質問、相互リンク等連絡があれば、kick_back_endless_shock◎yahoo.co.jpまでお願いします。

ブログ内検索
カテゴリー
月別アーカイブ
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
数学リンク
オススメ
広告
マイクロアドBTパートナーでおこづかいゲット!